Pale Blue CEOの浅川が運用アドバイザーとして打上げ後から運用に参画

Pale Blue CEOの浅川が、東京大学所属時に初代学生責任者として開発をリードした「水エンジン」が、11月16日NASA SLSにより打ち上げられたJAXAおよび東京大学の超小型探査機EQUULEUS(エクレウス)に搭載されており、月のラグランジュ点に向かうための所定の軌道への投入に成功しました。「水」を推進剤とする推進系による地球低軌道以遠での軌道制御成功は世界初です。当社CEOの浅川は、東京大学との覚書のもと運用アドバイザーとして打ち上げ直後のクリティカル運用に参画しましたのでお知らせいたします。

EQUULEUSの水推進機の利用について

水推進機は、EQUULEUSの軌道変換制御、月フライバイ前後の軌道修正、および姿勢制御(角運動量の調整)に使用されており、これまで地球ー月第2ラグランジュ点(EML2)に向かう軌道への投入に成功しました。EQUULEUSは今後初期運用フェーズから定常運用フェーズへ移行し、約1年半かけラグランジュ点に向かう予定となっており、水推進機は引き続き軌道変換制御や月フライバイ前後の軌道修正、及び姿勢制御(角運動量の調整)に使用される予定です。

 

EQUULEUSの水推進機とPale Blueの関わりについて

今回使用された水推進機は、Pale Blue創業メンバーである浅川純らが、東京大学小泉研究室所属時に開発をリードしていました。そのうちPale Blue CEOの浅川は、推進機開発チームの立ち上げ、およびチームの初代学生責任者を務めるとともに、EQUULEUSに搭載されている水推進機の打上げ後、運用アドバイザーとしても参画しました。具体的には、チームを率いて、水推進機のコンセプト設計、プロトタイプの設計・組立・試験、フライトモデル(*1)の設計・組立・試験等を主導的に行い、また学会等対外的な発表も代表して複数回実施した経験があります。

創業メンバーのうち浅川、柳沼、中川はフライトモデルの試験の途中で大学を卒業し、在学中に研究開発を行っていた水推進機の技術をもとにPale Blueを創業しており、以後のEQUULEUS水推進機の試験から運用は、研究室の後輩に当たるメンバーが主導しています。

 

EQUULEUSの水推進機とPale Blueの提供する推進機の違いについて

Pale Blueが開発製造している水推進機は、EQUULEUSに搭載された水推進機が基となっています。創業以来、Pale Blueでは更なる研究開発を進めており、EQUULEUSに搭載された水エンジンを基に、より製品として洗練させたものを提供しています。

また、EQUULEUSに搭載された水推進機は、水を蒸発させ、その水蒸気を宇宙空間に高速排出することで推進力を生む推進機(水蒸気式推進機)です。

現在Pale Blueでは、より洗練させた水蒸気式推進機に加え、さらに技術を発展させた水プラズマ式推進機(水イオンエンジン)も提供しています。水を蒸発させて水蒸気にするところまでは水蒸気式と同じ原理ですが、発生した水蒸気にマイクロ波を照射して水プラズマを生成し、水プラズマを高速排出することで推進力を生む、より燃費の良いエンジンという違いがあります。

 

Pale Blue 共同創業者 兼 代表取締役 浅川純 コメント

私自身が開発チームの立上げから設計・開発・試験まで関わり、また当社製品の技術の基となっている水推進機が、宇宙での正常動作および世界で初めての地球低軌道を超える宇宙空間での軌道制御に成功したというのは、Pale Blueにとっても非常に大きなマイルストーンの達成になります。引き続き、水推進機の社会実装に取り組み、宇宙産業のコアとなるモビリティの創成を実現していきます。

 

EQUULEUSについて

2016年9月に発足した、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学中須賀・船瀬研究室による共同プロジェクトです。このプロジェクトにより開発される6U CubeSat(約10×20×30cm)は、NASA Artemis I(アルテミス1号)へ相乗りして打ち上げられ、地球―月系のラグランジュ点へ効率的に航行することを目指します。

JAXAプレスリリース「JAXA超小型探査機EQUULEUSの初期運用期間終了について」：https://www.jaxa.jp/press/2022/11/20221126-1_j.html

 

Pale Blueについて

Pale Blueは、2020年に創業した東京大学発の宇宙ベンチャー企業です。安全無毒である水を推進剤とした持続可能な小型衛星用推進機の技術革新および社会実装に取り組んでいます。⼩型衛星実⽤化の課題となっている推進機に技術革新を起こすことで、次世代の宇宙モビリティ インフラ構築を実現し、科学技術の発展に貢献します。

 

*1 フライトモデル：実際に宇宙に打ち上げる装置

 

お問い合わせ先

株式会社Pale Blue 広報担当：奥原

メールアドレス：e.okuhara@pale-blue.co.jp